著作権における当然対抗制度

従来から、著作権のライセンスについては

・著作物のライセンス契約でのライセンシーは、著作権が譲渡された場合,著作権の譲受人(第三者)に対し,利用許諾の権利を対抗する手段がない

著作権者(ライセンサー)が破産・倒産した場合,破産管財人等から契約を解除されるおそれがある

の問題がありました。特許権と同様に当然対抗制度の設定が望まれてきましたが、

文化庁

  利用許諾に係る権利については,対抗要件を要することなく当然に対抗できることとする制度(当然対抗制度)を導入することが適当である

となって、今年8月から「著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチーム」で検討が進められることになったようです。法制度整備の進展に期待したいところです。

 

<関連リンク>

著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチーム(第1回) | 文化庁

 

GDPRとアプリケーション開発

 GDPREUの一般データ保護規則)が昨年5月に適用開始になってから、その内容についての解説やデータ移転に対してどのように対応すれば良いかは色々な方が本やWebで解説されてきました。

 一方、個人情報を入力して貰う(取得する)アプリケーションを開発する際にどのような点に留意するか、ユーザーインタフェースをどのようにすれば良いかなどは、GDPRの条文だけでは見えてこないので開発する立場からは対応に苦慮することになります。

 色々検索したところ比較的分かり易くまとまっているサイトを見つけることができました。

GDPR 準拠のアプリケーションを開発する, 第 1 回: 開発者向け GDPR ガイド

で3回に分けて解説されています。 

 

<関連リンク>

個人情報保護委員会GDPR

 

「著作物が自由に使える場合」と機械学習

久々の記事です。

日頃ソフトウェアに関する案件にかかわることが多いので、著作物に関して調べる際どうしてもプログラムの著作物の話に中心になってしまいますが、何かと話題の機械学習に影響する著作権の話がありました。

 

最近、文科省のサイトに著作権法の一部を改正する法律案が掲載され、その中に”デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備”がありました。それでは現状著作権はどうなっているのか今更ながら調べてみると、既に情報解析のための複製等(47条7)があり、

 コンピュータ等を用いて情報解析を行うことを目的とする場合には,必要と認められる限度において記録媒体に著作物を複製・翻案することができる(*1)

となっていました。これなら自然言語処理の学習データなどに青空文庫のデータだけでなく著作権がまだ切れていない小説や記事も使えるはずと思いましたが、どうやら本当にそうらしく、コラム:機械学習パラダイス で大学の先生が”この規定が、今になって(思いもよらず)AIの発展に欠かせない機械学習に活用できそう”とブログで書かれています。しかも日本では営利目的でも構わないようです。

 

関連記事:「日本は機械学習パラダイス」 その理由は著作権法にあり - ITmedia NEWS

 

*1:著作物が自由に使える場合 | 文化庁

 

 

 

 

 

ライセンス契約と著作権

ソフトウェアのライセンス契約では、「・・・の権利を許諾する」という表現が広く使われていますが、その「・・・の権利」がどれも著作権法でいう著作権に対応しているかというと必ずしもそうではないです。

 所得税法での著作権使用料として源泉徴収の対象となる使用形態について調べていた際に、

  クラウド環境における著作権使用料に対する源泉所得税

という記事を見つけました。

この記事ではそのような場合であれば著作権の使用に当たるか具体例を挙げながら種々の使用形態について詳しく説明されているのでわかりやすと思います。

経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」

経済産業省電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が今年6月に改訂されました。

 この準則はタイトルにある通り、サイトを使ったオンライン取引、ソフトウェア、コンテンツの取引に関するガイドラインを述べています。

 前者の電子商取引ではオンライン契約締結時(申込みと承諾)の際の画面表示や手順について留意点が詳しく説明されています。B2Cでの消費者保護に力点が置かれた説明になっていますが、B2Bでのオンライン取引を円滑に進めるために、どのような画面設計やフローを用意すれば良いかを検討するのにも大いに参考になりました。

 後者の情報財取引では、ソフトウェアのライセンス契約についてエンドユーザーとの関係で留意点や契約条件の適否が解説されているため、エンドユーザー使用許諾書のありかたやライセンス契約終了時にソフトウェア上で実行できる処置などについて、製品開発部門へ助言を行う際の判断材料として役立ちます。

 やや手薄のデータ取引やまだ事例がない今話題のAIについては今後の改訂での拡充に期待しています。

 

<関連リンク>

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂しました(METI/経済産業省)

電子商取引の促進(METI/経済産業省)

 

 

 

ITビジネスの契約実務

 ITビジネスの契約書に関する本としては、従来からあるシステム開発に関するものから最近相次いで出版されているIoTに関連したものまで多数あります。

 これらの中で本書はモデル的な契約書の各条文の解説に加えて、民法著作権法を始めとする知的財産権法との関連も詳しく説明されているのが特徴的です。後者では単に適用される法律の条文の解説だけでなく、情報システムでの典型的な利用シーンと関連づけてその意味を説明しているので、事業部門の担当者が実務的な必要性から契約に関し理解を深めようとする場合に参照すると役立つのではないでしょうか?

 

<関連リンク>

ITビジネスの契約実務

https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=2671468

Apache License, Ver 2.0

 よく使われるOSSライセンスにApacheソフトウェア財団(ASF)のライセンスであるApache License, Ver 2.0があります。

 これもよく使われるライセンスであるGPL(GNU General Public License)などと比べて、Apache License, Ver 2.0はライセンス条件が緩やかですが、一方注意しなければならない点として第3項のいわゆる特許条項の存在があります。

 これによりApache License、Ver2.0でライセンスされている成果物についてあなたが第三者に対して特許侵害であるとして特許訴訟を起こした場合、その成果物に対してあなたに許諾されたいかなる特許ラインセンスも終了する、ということになります。

 ちょっと分かりにくいですが、図解:Apache License 2.0の特許条項が参考になりそうです。

 

<関連リンク>

Welcome to The Apache Software Foundation!

licenses/Apache_License_2.0 - Open Source Group Japan Wiki - Open Source Group Japan - OSDN(日本語訳)

図解:Apache License2.0の特許条項 | オープンソース・ライセンスの談話室