ITビジネスの契約実務

 ITビジネスの契約書に関する本としては、従来からあるシステム開発に関するものから最近相次いで出版されているIoTに関連したものまで多数あります。

 これらの中で本書はモデル的な契約書の各条文の解説に加えて、民法著作権法を始めとする知的財産権法との関連も詳しく説明されているのが特徴的です。後者では単に適用される法律の条文の解説だけでなく、情報システムでの典型的な利用シーンと関連づけてその意味を説明しているので、事業部門の担当者が実務的な必要性から契約に関し理解を深めようとする場合に参照すると役立つのではないでしょうか?

 

<関連リンク>

ITビジネスの契約実務

https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=2671468

Apache License, Ver 2.0

 よく使われるOSSライセンスにApacheソフトウェア財団(ASF)のライセンスであるApache License, Ver 2.0があります。

 これもよく使われるライセンスであるGPL(GNU General Public License)などと比べて、Apache License, Ver 2.0はライセンス条件が緩やかですが、一方注意しなければならない点として第3項のいわゆる特許条項の存在があります。

 これによりApache License、Ver2.0でライセンスされている成果物についてあなたが第三者に対して特許侵害であるとして特許訴訟を起こした場合、その成果物に対してあなたに許諾されたいかなる特許ラインセンスも終了する、ということになります。

 ちょっと分かりにくいですが、図解:Apache License 2.0の特許条項が参考になりそうです。

 

<関連リンク>

Welcome to The Apache Software Foundation!

licenses/Apache_License_2.0 - Open Source Group Japan Wiki - Open Source Group Japan - OSDN(日本語訳)

図解:Apache License2.0の特許条項 | オープンソース・ライセンスの談話室

 

 

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

ウェブサービスを始める場合に、留意しなければならない法規制やサービスを運用していく間に直面しそうな法的なリスクについて一冊にまとめた本です。

個々の留意点のことは概ね知っていても、ウェブサービスに関連するものを一通り整理するのはかなり大変なため実務には大助かりでした。

 

ウェブサービスに関連する留意点が網羅的にカバーされているので、サービスを企画する際の法務的検討ポイントのチェックリストにも使えますし、また、利用規約については直面しそうな法的なリスクに対応するための条件作成ポイントや条文例があるので規約の起草やレビューに役立ちました。

 

<関連リンク>

gihyo.jp

インドネシア法務ハンドブック

インドネシアの法制度について初めて調べる必要に迫られたので読んだ本。民法知財制度、紛争処理に関する章があり、概要を素早く把握するのに役立ちました。

また新興国なので外資規制がありますが、こちらはJTROサイトに規制の一覧が掲載されています。

 本書を読むきっかけとなった実務に関しては個別に更に調べている最中です。

 

 

<関連サイト>

インドネシア法務ハンドブック | ビジネス専門書Online

外資に関する規制 | インドネシア - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロ

経済産業省:新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver1.0

 経済産業省のサイトで、データ流通促進ワーキンググループ がまとめた新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver1.0が公開されています。データに関する取引のワーキンググループ(WG)への相談事例集のようなものです。

 個人情報となる可能性が高い情報を基に作成した分析データを取引の対象とする場合のプライバシー視点から留意点や対応策について述べられているので、そのようなビジネスを検討している場合は参考になりそうです。

 半面、他者が収集したデータを基に分析を行った場合や、共同で収集、分析を行った場合のデータやそれに基づいて分析データの帰属などについては、事例はありましたが弁護士なとに相談ということになっており、今後はその結果を含めた事例展開となることを期待しています。

<関連リンク>

「新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver1.0」を取りまとめました(METI/経済産業省)

 

 

日台民間租税協定

2017年1月1日から「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会亜東関係協会との間の取決め」(略称「日台民間租税取決め)が適用になります。

これにより、技術使用料の源泉税率が10%に低減されます。

 

<関連リンク>

外国居住者等所得相互免除法第2章関係(台湾関係)|源泉所得税(租税条約等)関係|国税庁

台湾との窓口 公益財団法人日本台湾交流協会 東京本部: お知らせ: ◆【記事資料】「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協

我が国の租税条約ネットワーク : 財務省